damegakusei's diary

21歳フリーターレンタルビデオ店でテキトーこいてる  コンテンツ、日々の生活

Life is strange の感想

 あんまりネタばれないけど、未プレイの人は見ないで欲しい。

 理由も含めてまずは前文から。

 

 人生は選択の連続だという。意識せずとも日々我々は決断を行っている。着る服、電車で立つ位置、食べるもの、話すことetc  とりわけ「ゲーム」は選択とその結果が展開を左右する。一つの選択肢を選べば他は選べず、結果もまた違ったものになる。だからこそ、advという日常のシミュレーションはゲームとして成立する。日常の選択肢を可視化し、結果を能動的に選ぶことができるからだ。

 だが、時として選択は「ゲーム」内ですら意味を成さない。常に正しい選択肢や、意図された無意味なもの、条件を満たしておらず正しい選択をしてもその結果が間違ってしまうこともある。現実においても同じで、だから我々は日々の選択を意識の外へと押しやっている。

 Life is strangeは「ゲーム」ではない。正確には、人生にとても近い「ゲーム」だ。何故ならば、あなたが操作する主人公の選択は、常に何らかの結果を伴うからだ。

 ゆえにネタばれを見るべきではない。あなたの選択はあなたにしか作り出せない、そう人生と同じように。

 

 

 

以下ネタばれあり

 エンディングまでプレイをすると、コンセプトの良さがまず大勝利であったと思う。名作映画バタフライエフェクトをもし主人公目線のadvにできたら…という発想から実現へと至ったその時点で称賛に値する。自らの些細な選択が未来に大きな変化を及ぼすというテーマは、主体的に物語を体験できるビデオゲームにおいて大変相性が良かった。

 ビデオゲームはいくらでもやり直しがきく。気に入らない結果になれば何度でもやり直せばいい。プレイヤーはこの能力を得た18歳の写真家志望の主人公として、物語を体験することになる。ゲーム内では会話から情報を得た後に、その情報をもったまま時間を巻き戻すことが何度もある。advなら2週目以降に選べるルートに最初から突入できるようなものだ。

 ここが重要なポイントで、本来ならプレイヤーの行うセーブ&ロードを演出として組み込んでいるというのが素晴らしい効果を生んでいる。自分は普段、セーブポイントからのやり直しを何度もしてしまうが、今回この行為をしたくなくなってしまった。それは、このゲームに対して恥ずべき行為だと感じたからだ。つまり「1度きりの体験をしなければ主人公に申し訳ない」と思ってしまったのだ。そう思えてしまえるほどの没入感と臨場感、そして素晴らしい脚本がプレイヤーの心を最大限に動かし、多くの賞とファンを生んだのだと思う。

 このゲームの臨場感は、誰もが体験したあの不安定な青年期のかけがえのない経験を背景にすることで生みだされている。ep1は特にそれが強く、プレイヤーの心に興味を惹かせることに成功している。ゲーム内の小さな選択が、後の展開に影響を及ぼすこともこの効果を生んでいる。脚本は特に素晴らしい。ゲーム的な演出(セーブ&ロード、ステルス、非現実の描写)を効果的に用い、「あの頃」を描写しながら未来を選択するというテーマをプレイヤーの心に強く訴えかけるものになっている。

 これらの要素により、この Life is strangeは「ゲーム」というくくりで語るのに相応しくないゲームである。映画とアトラクションの中間ぐらいに存在している。(と勝手に思ってる) 

 どんな娯楽もそうだが、体験として人間の人生を彩ることがある。このゲームは紛れもなく傑作であり、一人一人違う体験を多くのプレイヤーに提供するであろう。

 

 細かい点(ほぼ雑記)

 百合味が強い!!!!

 登場人物の人間関係は繊細に描写されていて、全ての人物から多角的な面を感じ取れる。主人公達の関係や、既にいないレイチェル、クラスメイトにいたるまでその内面が感じ取れるのは本当にすごい。

 バタフライエフェクトの影響は大きい。タイムリープものにおいて本当に近年の名作だったのだと感じる。詳しくないが、シュタゲ、まどまぎ等多くのフォロワーがこの映画に影響をうけており、素晴らしさを再確認できた。

 これらの作品をつなぐテーマは犠牲であろうか。思い出や時に命を犠牲にしながらより良い未来を選択するというテーマは、強い訴求性がある。意識できない犠牲を可視化することによって、一度きりの人生の「かけがえのない可能性や未来」を感じることができる。

 タイムリープものの難しさは、投影の難しさにあると思われる。時間を操る能力を持ち、厳しい選択を繰り返す主人公をいかに等身大にするのか。このアプローチに失敗すると超人が頑張る話で終わってしまいそうな気がする。バタフライエフェクトは少し不足していると感じるが、後年の作品はこの点をクリアし有名になっていると思う。

 フォロワー3作品共に主人公はティーンエイジャー(年とってると可能性ないからね。あとまどまぎは、ほむらが主人公という認識)で、失敗しつつもよりよい未来を選ぶという過程に、自己投影ができるのだろうか。往々にして若い頃の思いでは成功よりも失敗が多いし。

 以上。このテーマにもまだまだ可能性がある。ウェルズのタイムマシンから始まった時間超越というテーマは形を変えながら現代の文化に大きく寄与している。今後も面白い作品に巡り合えるといいなぁ。